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会議を録って文字にするとき、録音機の設定をステレオにしておくべきか。この質問で検索すると、出てくるのは歌や楽器を録る人向けの解説ばかりです。音声認識を提供している側が何を推奨しているかを読むと、答えの場所がずれていました。
Googleの推奨に、チャンネルの話は1か所しか出てこない
Google Cloud Speech-to-Text の「おすすめの方法」は、音声データを渡す側に向けた一次情報です。この表のうち、チャンネルに触れているのは1行だけでした。
複数の人の音声をキャプチャし、各人物を個別のチャンネルで録音する場合は、最適な認識結果が得られるように各チャンネルを個別に送信します。ただし、すべての話者が単一のチャンネル録音に含まれている場合は、録音をそのまま送信します。
読み方は2つに分かれます。人ごとにマイクを分けられるなら、チャンネルを分けて別々に送るのが良い。そうでなく全員が1本の録音に入っているなら、そのまま送ればいい。ステレオにしておけば有利になる、とは書かれていません。
では、ICレコーダーのステレオはどちらに当たるのか。
ICレコーダーのステレオは、人ごとには分かれない
内蔵のステレオマイクが分けているのは左右の空間です。右から来た声は右のチャンネルが大きく、左から来た声は左が大きい。それだけで、会議室の右側に2人座っていれば2人とも右に混ざります。Googleが言っている「各人物を個別のチャンネル」とは別物です。人ごとに分けるには、人ごとにマイクが必要になります。
つまり1台の録音機を机に置いて会議を録る限り、ステレオにしても音声認識に渡せる情報は増えません。増えるのはファイルの重さだけです。
では、ステレオをやめて浮いたぶんは、どこに回すと効くのか。
浮いた分の使い道は2つ。安い順に
Googleのおすすめの方法のうち、会議を録る側が手を動かせるのはこの2つでした。「可能な限りユーザーの近くにマイクを置いてください」と、「音声の録音と転送にはロスレス コーデックを使用します。FLAC または LINEAR16 をおすすめします」。逆に避けることとして「録音または転送時に mp3、mp4、m4a、mu-law、a-law、またはその他のロッシー コーデックを使用すると、精度が低下することがあります」と書かれています。
①マイクを近づける。机の真ん中に置いた録音機から、話し手の口元まで寄せる。これが最も安い打ち手です。純正のモノラルピンマイクなら1,000円を切ります。聞き取れなかった発言を後から思い出すのに10分かけるなら、1回で元が取れます。
▼口元に寄せるだけの1本
価格・在庫・写真は 2026-11-03 に楽天市場から取得したもので、毎日更新しています。最新は各商品ページで確認してください(PR)。
買う前に1つ。このマイクはモノラルなので、ステレオ設定の機種に挿すと右チャンネルが無音になります。OM SYSTEM のアクセサリー欄に「ステレオで録音した場合、R ch.は無音になります」と注記が付いています。文字起こしに通すだけなら困りませんが、本体側もモノラルに合わせてから録るほうが素直です。
②圧縮を弱める。Googleが避けることとして名前を挙げているのはMP3を含むロッシー形式です。ICレコーダー側でこれを外すには、リニアPCM形式で録れる機種が必要になります。OM SYSTEM WS-883 は公式価格16,500円、リニアPCM形式は22.05kHz 16bitのモノラルです。この機種のいちばん良い形式が、そもそもモノラルでした。
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価格はOM SYSTEM公式オンラインストアの税込表示を2026年11月3日に確認したものです。
何も買わずに済ませたい人のために、ステレオをやめるだけで何が得になるかも書いておきます。こちらは0円です。
ステレオをやめると、2つ得をする
当サイトで1時間ぶんの音声を6通りの設定で作って量ったところ、605.6MBから13.7MBまで44倍の開きがありました。重さを決めていたのは1秒あたりのデータ量と、ステレオかモノラルかです。モノラルにすると、おおよそ半分になります。内訳は1時間の録音が何MBになるかを量った記事に全部あります。
これが効くのは、文字起こしのサービスに25MBのような上限があるときです。1時間の会議がステレオのままだと上限を超え、分割か変換の作業が増えます。もう1つは録れる時間で、ソニー ICD-UX570F の内蔵メモリーなら、ステレオの標準設定で59時間、モノラルで159時間と仕様に出ています。長い会議の途中で止まる心配が消えます。機種ごとの違いはICレコーダーのステレオとモノラルの違いに表で並べました。
混ざりやすい2つの数字を、先に分けておく
モノラルにすると音質が落ちて認識に響くのではないか、という心配には、2つの別の数字が混ざっています。
- サンプリングレート。Googleの推奨は「16,000 Hz 以上のサンプリング レートで音声をキャプチャします」。同じ表に「ただし、再サンプリングは避けます」とも書いてあります。録ったあとに上げ下げするな、ということです
- 周波数範囲。記録できる音の高さの上限で、ICレコーダーの仕様表に載っている値です。ICD-UX570F のモノラル設定は50Hzから14,000Hzでした
この2つは別の物です。14,000Hzはサンプリングレートの話ではないので、Googleの16,000Hzの線と直接くらべても意味がありません。声の芯は14,000Hzより下にあります。気にする順番としては、ここは最後です。先に効くのは、さきほどの2つの一手のほうでした。
確認していないこと
- ステレオとモノラルで、文字起こしの精度がどれだけ違うか。当サイトは同じ会議を両方式で録って認識結果を比べていません。この記事はGoogleの推奨と各機種の仕様だけで書いています
- Google以外の音声認識サービスの推奨。読んだのはGoogle Cloud Speech-to-Textのおすすめの方法1ページです。他社が同じ推奨を出しているかは確かめていません
- マイクを近づけた効果の大きさ。Googleのページに「可能な限り」と書いてあるだけで、何センチでどれだけ変わるかの数字はありません
- ME15 の音質。当サイトは使っていません。引いたのは対応機種と注記だけです
- Amazonの価格。取得したのはOM SYSTEM公式ストアの表示と楽天市場の値札です
今夜できる1つ
次に録る会議で、録音機の置き場所を1か所だけ変えてください。机の中央から、いちばん聞き取りにくい人の前へ。同じ会議の録音で、文字起こしが拾える語がここで変わります。設定をいじるのも、何かを買うのも後でいい。Googleが推奨の表に書いているのも、順番としてはこれが先でした。
この記事は、Google Cloud Speech-to-Text「おすすめの方法」、OM SYSTEM「主な仕様|WS-883/WS-882」「ICレコーダーおすすめNAVI」、ソニー「ICD-UX570Fシリーズ 主な仕様」を2026年11月3日に当サイトが取得して確認したものです。1時間の音声の容量は当サイトが別途自分のパソコンで作って量った値で、出どころの記事にファイルサイズをバイト単位で載せています。価格は公式ストアの税込表示をそのまま写しました。本記事のリンクには広告が含まれます。